小説の書き出しというのは、読者さんに作品を読んでもらうための大切な要因ですよね。しかし、そう思えば思うほど何を書けばいいかわからなくなってしまうのではないでしょうか。
ただ、コピペOKと銘打って上から目線な私ですが、私自身いつも書き出しに迷います。公募に出す一次創作なんかは、もう難しすぎて頭が爆発します(笑)
ですので、私が書いたものは秀逸な文が欲しい方というよりは「なんでもいいからとりあえず書きたいんじゃ!でも書き出し思いつかん!!」という方におすすめです。一例として参考にしていただければと思います!
書き出し20選
いきなり主題系
二次創作で使うのに一番適した書き出しだと個人的に思っています。その二次創作小説で書きたい内容に直結する文を、始めに書いてしまうんですね。
そうすると読者さんも読みたい内容に近い文をすぐに見られて、安心すると思います。(四つ目の文はDom/Subユニバースパロ想定です)
・俺は走っていた。それはもう、元気に鬼ごっこをしていた子供時代を思い出してしまうほどに。まさに全力疾走、疾風のごとく。俺、将来は風になるんだ――
なんてことを思っても、走ることになる原因は追いかけてくる。アイツは一度熱が入るとしつこいからな……。
・思ったことが口に出る薬。そんなものの話を知ったのは、散歩でもしようと街路樹の立ち並ぶ道を歩いていたときだった。
道に紙が落ちているのをちらりと目の端に捉えて、そのまま通り過ぎようとした。しかし見計らったように風が吹き、ひらりと舞う紙。俺は気が付けば、それを捕まえていた。何気なく裏返すと、そこに書かれていたのは――
・現在コイツは、表情筋をめいっぱい動かしてしかめ面を作っている。何も知らない一般人からすればただの仏頂面なのだが、近頃どこへ行くにも付きまとわれている俺には嫌でもその微妙な表情の変化が分かってしまうのだ。付きまとわれている理由、それは――
・ぴしり、と体が固まった。動け、と体に力を入れても、自分のものではないように俺の体は言うことを聞かない。目を丸めて、歩き出そうとした形のまま止まるしかなかった。
「……? お前、もしかして」
彼が目を見開いた後に、少し口角を上げる。ただ、「おい、ちょっと待て」と言われただけ。普段ならば無視できたのに。不摂生が祟ったかな。
・赤い……赤。その出所は、俺の、口?
吐血していると気が付いたのは、数秒経った後だった。急に吐き気がして、抑えることもできずにえずいたら。想像よりもサラサラとした液体が、口から溢れ出た。それも、真っ赤な。しかしパニックを起こす間もなく、血を吐いたと自覚した途端急激に体に力が入らなくなって、そのまま俺は意識をも失った。
情景系
その状況を想像してそのまま書けば良いので、ある意味簡単かもしれません。季節、場所、誰と居る、感じる匂い、風はあるか、などを書けば、自然と字数も増えそうですね。
・人々の話し声が食器の音と混ざり合い、一つの音楽のように賑やかさを作り出す。所謂居酒屋。テーブルが並ぶその一角で、俺はまだ何も頼まないくせに手持ち無沙汰でメニューを広げていた。そわそわと、視線がメニューを上滑りする。理由は簡単。想い人を待っているためだ。約束の時間よりも随分前に来て、何度も日付を確認して。早回ししたように脳内に感情が溢れている。
・雪が溶けて、少し暖まった風が春の匂いを運んでくる。街中で人々とすれ違いながら、俺は足取り軽く自宅へ向かって歩いていた。鼻歌でも歌いだしてしまいそうだ。なぜか? なんと、今日は取り寄せていた甘味が届く日なのである。
・散乱した服。上下様々な色やデザインの服が、床一面に広がっていた。その中心で、姿見に自身の姿を映しているのが、俺。
現在、ファッションショーが開催中なのである。参加者は、俺一人。開催場所は、俺の部屋。あれも違う、これも違う、と服はひっきりなしに取り換えられる。なぜ俺はこれといって個性のない服しか持っていないのだろう。
――嗚呼、明日はデートだってのに。
セリフ系
すぐに思いつく上に書きやすく、印象付けもしやすい書き出しですね。
ただ、誰が話しているのかわからなくてうまく入り込めないと言う意見の方もいるようです。
二次創作ならばキャラについて知っている方が多いと思いますし、口調で判断できると思いますが……。
人によっては即ブラウザバックしてしまうというので、使用の際は二文目に誰が話しているか明記するなど、気を付けなくてはいけないかもしれません。
・「お前の嘘は、優しすぎるよ」
彼は、俺の癖をそう称した。何も知らないくせに。とは言えなかった。だって彼は、俺のことを誰より知っているから。
・「はは、面白い冗談だね」
俺の告白は、その一言で一蹴された。……そう思うには、少し早いかもしれない。だって、お前の声は震えているし、お前の目は逸らされているし、俺はお前を良く知っているから。なあ、認められないだけなんだろう。お前は自分を幸せにしちゃいけないと思っている。だから言ってやるよ、何度でも。
・「どこへ行くんだ、こんな夜更けに」
ぴしり。背後からかけられた声に、体が固まる。後ろにあるのは、良く知った気配。いつもの気配。安心する、気配。
どうやらあなたは、存外私を気にかけてくれているようですね。本気の逃避行を、止めようとするくらいには。
・「悪かったとは思ってる」
布団にくるまって出て来ない俺に最初にかけられたのはそんな言葉だった。そしてその次に続いたのは、こんな言葉。
「でも、後悔はしてない」
それによって俺の怒りは最高潮に達する。あれだけ好き勝手しておいて、恋人を労う一言もでてこないのかコイツは!! もう、今日は口きいてやらないんだからな。
・「――」
ときどきコイツは、寝ているときに俺の知らない名前を口にする。そのときの表情は、決まってはじめは安らかで、次に苦し気になるのだ。
俺に言えない悩みやなんかを抱えているのは、なんとなくわかる。言いたくないのなら無理には聞かない。言いたいことがあるなら何だって聞く。そういう距離感を保ってきたが、果たしてそれは正解なのだろうか。わからない、けれど。
――今日は、少し踏み込んでみるか。
それが、コイツの安らぎになると信じて。
目覚め系
読者さんと共に状況を理解していけるので、使われやすい印象です。朝以外にも、知らない場所で目覚めたり昼寝から目覚めたり、応用ができますね。
・微睡の中から意識が浮上する。カーテンの隙間から差し込む光が、丁度目に刺さって眩しい。光から逃れるべく寝返りを打って、目を薄く開ければ。
小さく悲鳴を上げた。目の前に、顔。自分一人で寝ていると思ったものだから大いに驚いた。それはもう、練乳と間違えて生にんにくのチューブを使ったときのよう。あれは本当に、脳がバグを起こした。なぜ見た目で気が付かなかったのか、いやチューブの見た目が似ていたから――ってそんなことは良い。なぜコイツが、ここに?
・目が覚めると、そこは白くて広い部屋だった。一面、白。壁も、床も、天井も。それでいて、何もない。
――いや、何もないと言うと語弊がある。床には一人、投げ出されたような体制で眠っている人がいた。俺も、あんな感じで眠っていたのだろうか。とりあえず起こさなくてはと、俺は見覚えのあるソイツの元へ歩いた。
・夢を見ていた。悪夢だ。それでいて、幸せな夢。いや、幸せだから悪夢なのだけど。俺はその幸せを壊してしまったから、この夢はもう、悪夢と化してしまったのだ。
そしてまた、今日が始まる。暗い気持ちで目を開ければ、仰向けで寝ていたらしい俺の目には、見慣れた顔が映った。
「は?」
「やっと起きたか、寝坊助さんめ」
状況が呑み込めない。いや、呑み込めてもわからない。俺は今、人生初の膝枕をされているらしかった。
疑問を与える系
意味の分からない一文から始めたり、衝撃的な状況から始めたりすると、読者さんも「なんだなんだ」となってくれるはずです。考えるのがむずかしいのが難点ですね……ということで私がこしらえます。参考になれば……。
・守ると誓った相手に、刃を向けた
・残酷な優しさというものを知った
・その日、愛が生まれた
・今日、指輪を壊した
書き出しのコツ
書き出しには、意外と沢山の情報があるものです。例えば、書いた人の文体だとか、キャラクターの感情、居る場所など。
二次創作の場合はキャプションの説明を見て、内容が好みに合っているか見定める人もいると思いますが、書き出しを少し読んで読了するか決める人も多いと思います。
印象付けること
書き出しを読んで読了するか決める方が多いということは、まず読者さんを引き付けるために書き出しで物語を印象付けなければなりません。
でも、二次創作ならば既にキャラクターのとりこになっている人が読みに来ていると思うので、知られているキャラクターを使えるというのは読まれるための大きなアドバンテージです。
なぜなら、好きなキャラクターが動いて話しているだけで尊いのですから!
そして、二次創作小説は基本的に、推しキャラクターのかっこよさ、かわいさ、または推したちの絡みの尊さを綴るものだと私は思います。
その手段として事件を起こしたり、奇病やパロを使うのですね。
つまり印象付けるには……
いきなり主題から入ること!!
そう、せっかく良い物語を思いついても、読んでもらえなければその尊さを伝えられません。ですから、書き出しは書きたいことに直結する文から始めましょう。
例えば、事件が起こってそれを解決する推しが書きたいならば、いきなり事件について話し合っている場面から始める、推しCPが付き合う過程が書きたいなら、告白されているシーンを最初に書いてから時間軸を巻き戻す、など。
とにかく出し押しみせずに書きたいものをドカンといっちゃいましょう!
クライマックスは隠しながら
「あれ?さっきと言ってること違くない?」と思われたかもしれません。
はい、これは正直に言うと好みの問題だと思います。
私が先程言ったのは、「書きたい内容の直結する主題から入ること」ですね。
それがクライマックスと繋がる場合、クライマックスを書き出しに書いて、そこへ至るまでの物語とその後を本編とするのも良いと思います。
でもそれだと、ネタバレじゃないですか!!
いや、それでも良いのですけど……。
クライマックスは物語の中盤にあったほうが感動すると思います!私は!
例えば、付き合うまでの過程を書きたいとして、始めに「好きだ」から入るのは若干ネタバレで、「これは、不器用な二人に春が来るまでの物語」とするのはワクワク感が完全に残されていると思うのです。
この違いがどうでもいいなって思った方は気にしなくて良いと思います……。
ただ、私の言ったことに納得してくれた方は、クライマックスをそのまま書くのではなく、ワクワク感を残す形で隠しながら書くのが良いのではないかなと思いました!
※あくまで二次創作小説の話です
だらだら続かせない
文章がどんなに上手い方の小説でも、展開がだらだらと続いていると面白みに欠けます。
ですから、書き出しは長すぎない方が良いでしょう。字数でいうと2000字くらいまでが丁度良いと思います。
展開は飽きないように次々様々なことが起こると良いですが、それを最終的に一つにまとめてすっきりさせないといけないことを忘れずに……!
収拾がつかなくなると没になりかねません。そのためには、プロットを書くのも良いでしょう。
まとめ
二次創作小説の書き出し例20個と、書き方のコツでした。
書き出しの種類としては、主に五種。「いきなり主題系」「情景系」「セリフ系」「目覚め系」「疑問を与える系」ですね。作風によっても合うものが変わってくると思います。
書き出しのコツは、「いきなり主題系」を支持する形となりましたが、印象付けるためにはそれが一番かなと思います。キャプションに書いてある内容に近い文から始まると、安心感がありますからね。
皆さんの創作が捗りますように🍀


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